どのくらい?

「長時間露光」

と一口にいっても、1/2秒~1分、ときには5分、10分とその幅は大きい。

はたしてどのくらいの長時間露光が適切なのか? まあいってしまえば

それは「己がどのような画が欲しいのか?」 に尽きると思う。

またその時々の天候、気温等にもよっても適切な露光時間というのは変化してくる。

このケースでは何秒、何分!の露光が絶対に良い!という明確な決まりはないが、これまでの私の経験、好みによって “適切な長時間露光”というのがあるにはある。では早速考察してみよう。

[滝, 水流] 露光時間0.1秒~30秒~1分

私は渓流撮りが好きだ。NDフィルターで初めて滝を撮ってからというもの、ただの水の流れが絹のように変化する瞬間に魅了され続けている。

これまで渓流において様々な長さの露光を行った。私としては渓流や滝では長くても1分間の露光で充分という結論に達した。それでも1分間の露光をすることは稀で、シルキーな水流の表現を得たい場合は大抵10秒以内の露光に設定している。

SACRED FALL
新緑の綺麗な季節、御船の滝での一枚。露光時間は4秒。水しぶきが結構飛んでくる場所での撮影だったので、なるべく露光時間は短くしたかったからだ。

D800E,16-35 f4G ED VR(16mm),ƒ/13, 4s, ISO 100
Filters: PRO1D-ND16, C-PL

[DEEP GREEN]

箕面渓谷での一枚。新緑の水面への映りこみが大変綺麗だった。このときは必要十分にスムーズな水面を得るために1分近い露光をした。水流が白とびするギリギリの露光だが、その甲斐あって新緑の水面の映り込みの美しさを最大限に高めることが出来た。

NIKON D800E,70-200 vr2(70mm) ,f11,55s,ISO 100
Filters:C-PL, ND400

Deep Green by Yoshihiko Wada on 500px.com
DEEP GREEN

 Autumn Whim

秋の赤目渓谷。所謂「ぐるぐる」写真。秋の渓流でたまに見ることができる光景だ。

D800E,PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED,24mm,ƒ/8,30s,ISO 100

露光時間による渦巻の変化の様子:

左から1/2秒,8秒,30秒

こういうケースで渦巻き状の描写をしたければ30秒を目安に設定すると良い。渦の動きが非常に遅くて渦巻きが足りないと感じたら1分ぐらいにしても良いが絞りすぎると画質低下の原因の回析がおこるので注意。

 

[日中の長時間露光] 露光時間:60秒~3分~10分

日中の長時間露光で大切なのは、「その長時間露光で何を得たいのか?」を念頭において撮影に取り組むことだ。

60 秒:

Souls of the Castle

こちらは私の日中の長時間露光に取り組み始めた初期の作品。

当時持っていた一番の高濃度のフィルターがND400(約9段)。それにND16(4段)を重ねてND13相当として使用した。しかし9月の一番日差しの強い時間帯ということで、それだけではまだ不十分。F16まで絞って65秒の露出を稼いだ。 雲の流れるスピードにもよるが一般的に1分程度の露光では”とろける”ような雲の表情を得るのは困難だ。その反面、雲が思わぬ造形を描いてくれ、独特な表情を醸し出すことがある。

撮影日:2013/09/06 12:43 大阪城公園:
D7000, 10-24mm (18mm)
ƒ/16,65 sec,ISO 100ND400+ND16

こちらも比較的初期の作品。 120秒。

“PARC55”はサンフランシスコ旅行中に泊まっていたホテルの名前(左のビル)。下半分に雲がほとんどないので、バランス的にどうかな?と思ったりもするのだが、そのアンバランス差加減もこの一枚の魅力の一つかなと良い方向に考えている。(笑)

D7000,10-24,10mm,ƒ/13,120s,ISO 100
PARC 55 by Yoshihiko Wada on 500px.com
PARC 55

 

DARK EDGE

茨城県水戸芸術館にある水戸タワー。120秒の露光により背景の雲が右下から左上に向かって流れている。

D7000,NIKKOR 10-24mm(10mm),ƒ/13,141s,ISO 100

 

ワンポイントアドバイス

ここで注目してもらいたいのは、被写体のタワーと、流れる雲が対角に交わる構図を取っているところだ。被写体だけでなく、背景の空と雲に注目して、長時間露光後に流れる雲の方向と被写体がどういう関係を描くのかを予想して構図を考えよう。

Wada_Dark_Edge_memo

 

5 minutes (300seconds)

B&Wファインアート写真界のパイオニアJoel Tjintjelaar(ジョエル・チンジェラー)が提唱した「F8, 5分」の超長時間露光(ハイパーロングエクスポージャー)。現在のファインアート系長時間露光、特に都市景観、建築系のスタンダードになったといえるだろう。

日中でF8, 300秒という長秒を得るには16stopsの減光が必要である。

これまでは16stops の減光を得るには、複数のNDフィルターを重ねて使うのが一般的だった。

しかし今から二年ほど前にFormatt-HitechFirecrest 16という一枚で16stopsの減光、しかも極めてニュートラル性能が高く5分という長時間露光をしても、ほとんど色かぶりをしないという驚異的なフィルターを発発表した。もうフィルターを重ねる必要がないので、超広角レンズ上でけられることもなく、より手軽に超長時間露光が行えるようになった。

THE MOMENT OF GREY

D600,16-35mm f/4G ED VR, 16mmƒ/10, 336s,ISO 100,  Firecrest 16
The moment of grey by Yoshihiko Wada on 500px.com
THE MOMENT OF GREY

良く見てもらうと判るのだが、写真中央にカモメが映っている。撮影の途中で飛んできて、かなりの長い時間ずっとしていてくれた。そのおかげで336秒の長時間露光でもかなりはっきり姿が映っている。もちろん狙ったわけではないが、この鳥がいるおかげで写真にアクセントが生まれた。

ワンポイントアドバイス

APP

長時間露光で最初のハードルは、どのぐらいの長さが適切かの計算ではないだろうか。

10stops,もしくは16stopsとなると、カメラの内臓露出計はまったくあてにならない。

慣れてしまえばその計算も難しくないのだが、APPを使えばそんな問題も一気に問題解決だ。

それこそたくさんのAPPがあるので何を使ってもよいのだが、筆者愛用のExposure Calculator を紹介。

画像はF8, 1/250でND16を使用した場合。Shutter:262s と出ている。

シーンによっては、もう少し絞りたい場合、もしくはISOを調整したい場合もあるだろう。

 

しかしながら3分を超える際は計算結果より20~30秒プラスすると、より良い結果が出る。

Screenshot_2016-08-02-12-37-38
Exposure Calculator

10 minutes (600 seconds)

時には5分以上の長時間露光が必要なケースもある。

私もこれまで10分という長時間露光を何回かやっている。次はそのうちの一枚。大抵のケースで5分でOKだが、天候や使用レンズ、意図する構図によってはそれ以上の長さの長時間露光をするケースも出てくる。

特に超広角レンズを使う場合、画面の端から端まで途切れることのない雲の動きを撮りたい場合、露光時間は長くなりがちである。

D800E,14-24,14mm,ƒ/8,601s,ISO 100

The Land of Redemption by Yoshihiko Wada on 500px.com
THE LAND OF REDEMPTION

 

Calculated Chaos Part4: Singularity
D600,14-24,14mm,ƒ/10,603s,ISO 100

CC4_Singularity
Calculated Chaos Part4: Singularity

あきらめない

時に天候は思い通りにいかない(事の方が多い)。この写真を撮ったときも5分の長時間露光を6回、最後の7回目は10分やって、ようやく満足のいく結果を

得ることができた。ときには日を改める決断をすることも必要だが、まずは可能な限り粘ってみる。何事もあきらめないことが肝心だ。

 

ワンポイントアドバイス:方向と速さ

構図を決めるときは雲の動きを見極めよう。

・雲の動き(方向)。どこかららどこに移動しているのか。

・雲のスピード:速いのか遅いのか?→遅ければ露光時間をいつもより長くするなどの対応が必要。

 

実験と失敗が経験の元

私も日中の長時間露光を撮影しだした当初はたくさんの失敗をした。露光時間が短すぎたり、長すぎたりは当たり前、時にはNDフィルター付け忘れることも。一度付けたNDフィルターを外して構図の確認した後、その後フィルター付け忘れて5分露光したこともある。当然画像は真っ白!
今でも、なかなか一発でイメージ通りの撮影ができることは難しい。数々の実験や違う構図を試しつつ同じ撮影場所で3-4時間過ごすことはざらだ。しかし、当たり前のことだが実際の撮影の経験を積まないかぎり良い写真は撮れない。失敗は成功の元。そして失敗写真はブログのネタ元になるのであった・・。 ではまた!

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