“映り込み“は都市景観を専門にしている私ならずともあらゆる写真家にとって重要な作品的要素ではないだろうか?私は街の中ではいつも映り込みや反射を求め、それらをいかに構図に盛り込むことができるかを意識している。映り込みや反射はありふれた被写体に面白みをあたえ、撮り尽くされた有名ランドマークに新たな視点を与えることができる。是非とも被写体の周りを良く観察して人とは一味違った写真を撮ってみようではないか。

それでは映り込みが良くみられるのはどんなところだろうか?

1.窓(もしくはガラス)

街の中に窓はあちらこちらにある。ビルがあればそこには窓があるわけだ。良く磨かれた窓はまるで鏡のようだ。

Black Mirror by Yoshihiko Wada on 500px.com
[ BLACK MIRROR]
Fukoku-seimei building, Osaka, Japan
Nikon D800E, AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
16stops(10stops+6stops) 300seconds exposure.
165mm Firecrest ND for with Lucroit 165mm system for ultra-wide lenses

複数の窓により、通りの向こう側にあるビルが抽象的なパターンを作っていて面白い。富国生命ビルは建物それ自体も特徴的だが窓の映り込みによってその特徴的な構造が一段と引き立ってみえる。

Black Glass by Yoshihiko Wada on 500px.com
[BLACK GLASS]
Fukoku-seimei building, Osaka, Japan
D7000,AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED
Firecrest 16 Filter (77mm), 200 seconds exposure
デザイン性が高く多くの窓ガラスを使用しているビルディングは撮影者の想像力を刺激する。三脚を立てるまえに最適な構図になるよう良く観察しよう。

シンメトリー:

完璧なシンメトリーになる場所を探そう。窓ガラス付近でシンメトリー構図を捉えるコツは窓にできるだけ近づくことだ。「この反射いいな!」と思ったら、そこからさらに一歩窓の方に近づいてみることだ。

Twilight Mirror by Yoshihiko Wada on 500px.com
Twilight Mirror,D600,AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR,No Filter

From the Observation floor, Umeda Sky building , 梅田スカイビル展望デッキからの夕景。レンズをガラスにピッタリとつけての手持ち撮影。

ATTACK ON HARUCAS by Yoshihiko Wada on 500px.com
ATTACK ON HARUCAS

良く見ると左のビルの三基あるエレベーターの窓ガラスに向かいのビル(近鉄ハルカス)が映りこんでいる。

この映り込みがあるのとないのでは、作品の印象はがらっと変わるだろう。

 

S.O.D sense of dimension:Ⅰ by Yoshihiko Wada on 500px.com
S.O.D. SENSE OF DIMENSION Ⅰ

東京国際フォーラム。ここの映り込みはあまりにも有名。ピカピカに磨き上げられたガラスによって、写真を天地逆にしても成立してしまう所がすごい。

S.O.D sense of dimension:Ⅲ by Yoshihiko Wada on 500px.com
S.O.D. SENSE OF DIMENSION Ⅲ

上とほぼ同じ場所だが左右のボリュームが同じぐらいになるよう構図を調整。実際撮影時は縦構図だったが、撮影後、横構図にしたら宇宙船内部みたいで面白かったので、こちらを採用。

 

2.壁

ある種の壁はガラスと同じように光を反射する。壁の持つ独特な風合いがガラスとはまた違った面白い反射をするのが興味深い。

TRANSCENDENCE by Yoshihiko Wada on 500px.com
[Transcendence]Nikon D600
AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
Firecrest 16 Filters, 300seconds exposure.
サンフランシスコの有名なランドマークのトランスアメリカピラミッド。あまりにも個性的なその姿をただ撮影してもつまらない。左のビルの映り込みは一部分だけだが、写真に立体的な深みを与えている。

 

Distorted Reality by Yoshihiko Wada on 500px.com
[Distorted Reality]Nikon D800E, AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED,
16stops(10stops+6stops) 300seconds exposure,
165mm Firecrest ND for with Lucroit 165mm system for ultra-wide lenses
一瞬ガラスのように見えるが実はこれは壁への映り込み。うっすらと見える独特な壁の素材感が面白い。

3. 水(面)

水面への映り込みは美しく私のお気に入りだ。湖、川、海、そして水たまりなどが代表的なものだろう。
長時間露光で水面のさざ波を完全にフラットにして映り込みを強調、美しくすることができる。

Between The Eternity by Yoshihiko Wada on 500px.com
[Between the Eternity]Nikon D800E
PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED
Firecrest 16 Filters, 180seconds exposure.

3分の日中の長時間露光で水面を完全なフラットにし、雲の動きを出すことで静と動の対比を生む。 

 

Alone in the Darkness by Yoshihiko Wada on 500px.com
[Alone in the Darkness]神戸・会下山トンネル, Egeyama-tunnel, Koube, Japan

すでに本来の役目を終えてひっそりとたたずむ神戸にある地下水路、会下山トンネル。定期的に音楽ライブ、また年に一回は一般公開されている。

 日本庭園:

伝統的な日本庭園は緻密にデザインされており、弁天堂の池への映り込みは偶然の産物ではない。
これは一昨年の京都醍醐寺のライトアップの際の撮影。実はこれ、PC-E 24mm レンズのシフト機能を利用して、上下二枚を別々に撮影。その後PCでパノラマ合成している。

R-EDEN_.45jpg
[R-EDEN]京都,醍醐寺
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無題

皆さん、作品のタイトルちゃんと考える方ですか?

私はかなり真剣に考える方です。

なぜならタイトルは作品の一部です。その作品を表すぴったりのタイトルがあってこそ作品の完成といえるのではないでしょうか。

無題(UNTITLED) は ダメ?

 

「無題」とすることで 写真を見た人に対して

「この作品の意味はどうぞ自由に考えてね」

という考えのもとに、「UNTITLED」にしている方もいると思います。

ただ、そうではなく単に良いタイトルが思い浮かばずに「無題」としている写真も多いのではないかと思います。

タイトルで変わる写真の印象

写真はタイトルによって印象がガラッと変わることがよくありますね。

たとえば、こちらの写真。題材はシンプルなのでいろんなタイトルがつけられると思います。

20140814-_DSC4799
「無題」 D600, 28mm, f10, 183秒

まず「岩」はどうでしょう?

きっとこう思いますね“見ればわかるし・・・・”

「岩」と言われても、そこから何も思いが広がっていきませんよね。

では「鼻」 はどうでしょう?

“「鼻」ねえ・・。そう言われるとそう見えるような・・” あなたはだんだんあの岩が鼻に見えてきました。(笑)

ではもっと観念的な題はどうでしょう?

「孤独」 「時間」 「静けさ」 「無限」 などなど。

画がシンプルなだけに、様々な見方が出来ますね。

考えを導く

たとえばこの写真のタイトルを「孤独」とした場合、写真を見た人は「どの辺が、“孤独”でどのあたりが“時間”なのかな?」と作者の物の見方をなぞろうとします。それが作者と受けての「共感」を生むことになるのではないでしょうか。

良いタイトルをつけるこつ

あったら教えて欲しい!(笑)

私の場合、タイトルは全て英語にしています。 英語の響きが好きなのと、作品の発表の場を海外メインにしているのが主な理由です。ただビタッ!と決まる英語のタイトルをつけるのは難しいですね。

難しい表現は使わずに(使えない?)なるべくシンプルに、短い言葉を組み合わせるようにしています。

Soak in Marshall by Yoshihiko Wada on 500px.com
Soak in Marshall: マーシャルビーチはゴールデンゲートブリッジと海岸を組み合わせて撮影できる定番スポットです。この構図で撮影するためにha膝から下を冷たい海水にさらす必要がありました。(Soak in~に浸る)

類義語を活用

そんな私がよく使うのは英語の類語検索です。

綺麗な夕日の写真でよく、「SUNSET」、とか「SUNRISE」とか、直球なタイトルが結構ありますね。
まあど真ん中タイトルも時には良いですが、ちょっと捻りをいれたいとき、そんな時は類義語検索してみましょう。

Sunsetの類義語として以下のようなものがあります。

“Twilight” “nightfall” などは”sunset” とほぼ同義語ですが、Sunsetよりは少し洒落てますね。
そこに何か簡単な言葉を追加して”The last twilight”, ” Twilight to the night”, “Night fall at Tokyo”

など、簡単な形容詞や、場所などを組み合わせると雰囲気が出るのではないでしょうか?

この方法は日本語や他の言語でも使えますね。

映画や曲のタイトルから拝借

幸運なことに「題名」には著作権はないんです。

ですから自由に好きな映画、本や曲のタイトルから拝借することが可能です。

ただあまり有名なタイトルは、それだけに皆知っているので使うときは注意が必要です。

写真がそのタイトルにマッチしているか良く考えてください。

私のお勧めは、そのままタイトルを拝借するのではなくて、ちょっとアレンジしてみることです。

20160106-Evil_Red_0623_finishing
EVIL RED

こちらの写真は”EVIL DEAD(邦題:死霊のはらわた)”から DEADをREDに変えました。韻も同じだし、 邪悪な雰囲気と、セレクティブカラーの赤が上手く表現できた良いタイトルではないでしょうか?(自画自賛)


たまに、写真はすごく良いのに「UNTITLED (無題)」な作品を見ると、「おしいな~」って思ってしまいます。

なぜなら、作者だけがその作品にタイトルをつける権利があるのですから。「無題」とすることでその権利を放棄しているように思えます。どこに自分の娘や息子に「名無しの権兵衛」と名付ける親がいるでしょうか?

自ら生み出した作品はの自分の子と同じです。素敵な名前をつけることでその作品により一層愛着がわくでしょう。

愛せよ、さらば汝も愛されん。

BetweentheEternity
Between the Eternity ~永遠の狭間で~

 

自分だけの時間を持つ

Alone in the Darkness
Alone in the Darkness

早起きは三文の徳

私の朝は早い。午前4時起き。そう私は超朝方人間!

家族はそんな私をに「おやじじい」と呼ぶ。

家に書斎のない私は(現在の日本に自分の書斎を持っている親父がどれだけいるだろうか?)この早朝の時間が非常に重要なのだ。
私はこの時間を利用して創作活動をしている。

一人になれる時間を確保

私のワークスペースはリビングの一角、というか階段を上がってすぐ。

家族の動線に位置するこの場所は、静かに創作活動など行えるわけもなく、常に娘と妻の妨害にあう。

というわけで、家族が起きてる時間内に創作活動はやめることにする。 必要に迫れ超早起き戦略をとることになった。 幸運なことに

妻と娘は6:30まではぐっすり寝ている。

8時には家を出て会社に行かないといけないので、4時から6時までの2時間を創作活動にあてている。

貴重な時間を創作活動に

早朝の2時間はとても静かで、一人じっくりと創作活動をするにはうってつけだ。

私の写真は(特にファインアート、モノクロ建築系)ポストプロセスに結構な時間がかかる。短くて10時間、多くかかるもので30時間ぐらいは

完成にいたるまで時間を要する。

ある程度まとまった時間を日々の時間に確保するのは何かを生み出すには重要だ。とくに日々の仕事を持っている人々には難しい。

時間は平等に与えられている。しかしその時間を価値あるものにするか、無意味なものにしてしまうかは我らの手にゆだねられている。

WEBに時間を取られ過ぎてはいけない。facebookはほどほどに。

WEBは作品を発表するには有効な場所だし、他のアーティストと交流するのも良いだろう。

WEBから一定の距離を置き、心身共に一人になる時間を確保しよう。

ローマは1日にしてならず

時間を掛ければ良い作品が出来るという保証はないが、時間をかけて自分の作品に真摯に向き合うことで、作品の質が上がるのは確かだ。

千里の道も一歩から。 少しづつ歩んでいこう。
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赤目渓谷

赤目渓谷, 雛壇滝
Autumn Whim

赤目渓谷はご存じだろうか?

赤目四十八滝として有名な渓谷である。大小さまざまな滝が集まり、その数おおよそ四十八ということらしい。
滝と言えるのかどうか分からない段差の流れも多くあるが、新緑、特に紅葉時には多くの写真家が集まる。

渓谷の公式ホームページもあって、特に紅葉シーズンは見頃時期を教えてくれ大変ありがたい。

数ある滝のなかでも一際有名なのは荷担(にない)滝。

しかしこの滝、渓谷の最終盤にあるため、なかなか良い光の時間帯に訪れるのが難しい。あと撮影場所も限られているのでなかなか構図も他の人と差別化を図りづらく、私もこれまで何度か訪れているが、これぞ!といった一枚は未だ撮れず・・・。さらなる精進が必要ですな。

そしてこちらは琵琶滝。荷担滝の僅か先にある滝。

Photograph the beginning of stream by Yoshihiko Wada on 500px 琵琶滝 by Yoshihiko Wada on 500px

この滝も渓谷奥深くあるためなかなか、良い光線で捉えるのが難しい。 特徴的な石畳を流れる様が美しいので水量が多い梅雨時期がお勧め。長靴があればより攻めの構図ができるでしょう。

こちらは千手滝。渓谷にはいって15分ほど歩くとあらわれる。正面より横からの構図がお勧め。望遠でクローズアップしても面白い。

これは個人的に好きな姉妹滝:

少し距離を取って縦構図もお勧め。

そして渓谷の最後にある巌窟滝。私はたいてい時間の都合、この滝まで来ることはない。ここも渓谷奥深くたたずむ滝のため良い光線を捉えるのは難しい。

Photograph Gankutsu Taki Fall by Yoshihiko Wada on 500px

Gankutsu Taki Fall by Yoshihiko Wada on 500px

実はまだまだたくさんの撮影スポットがある赤目渓谷、関西在住の方は是非行ってみては。

一瞬の”5分”を切り取る

Akashi Kaikyō Bridge,Koube, Japan. 明石海峡大橋
Falling Down by Yoshihiko Wada

私の長時間モノクロファインアートは基本RAW1枚から現像していて、合成の類はしていない。

たまに「元のRAWファイルを見せて欲しい」というリクエストがあるので今回はそれにお答えする。

Photo of the RAW image
D800E 14-24mm f/2.8GED 300sec.F11, iso100, Filters:10+6 stops (total 16 stops) FORMATT HITECH

これが私の最近のBW長時間露光写真”Falling Down”のRAWファイル。

そして次の写真は長時間露光前に通常露出で撮った1枚。

no long expousure
ss:1/250, F11, iso100, D800E+NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

この日の雲が非常にドラマチックな表情であったのが分かると思う。

そして次が抑えの1枚、微妙に構図を変えて撮った長時間露光の1枚。

Raw_alt
camera:D800E 14-24mm f/2.8GED 300sec.F9, iso100,

露出時間は同じ300秒。光の加減はほぼ同じだが、雲の位置と形が違うので1枚目とは長時間露出後の表情が1枚目と比べてかなり変化してしまっている。

結局最初に撮った1枚の雲の表情が気に行ったのでそちらを現像した。

300秒(5分)も長時間露光すると結果は同じようになる、と思っていないだろうか?

長時間露光でも一つ一つの撮影後の結果は当然違ってくる。

それは一瞬一瞬を切り取るスポーツ写真となんら変わりはない。

長時間露出写真を成功させる“こつ”は、

長時間露出を“長時間”と考えずに、一瞬の”5分”と考えることだ。

“同じ形の雲”が2度とやってこないのと同様に、その“5分”も2度とやってこないことを肝に銘じて撮影に挑め。

Akashi Kaikyō Bridge,Koube, Japan. 明石海峡大橋